楊令伝の好きな人物

『楊令伝』全15巻を読み終わったので余韻のあるうちに,とりあえず好きなキャラクターについてメモ。好き,というか気になった人物も含む。

登場人物がかなり多いので,「誰が好きか」で性格診断のようなものにもなるかもしれないと思います。

なお,ネタバレもあると思います。あと人名は公式サイトWikipedia からコピペしたものが殆どですが環境によっては表示されないかもしれません。

  1. 蕭珪材
    やはり一番好きなのは蕭珪材。作中でも「蕭珪材だけは超然としている」といった描写が2~3回あったと思いますが,とにかく蕭珪材が出てくるだけで,思わず居住まいを正したくなるほど雰囲気が清々しいものになると思いました。権力争い・手柄争いとは無縁の生き方をしているからでしょう。物語的にはあまり重要な戦に関わってこない印象ですが,それも何となく蕭珪材らしいとはいえる気がします。自分はとにかく蕭珪材ひいきなので,当然のことながら岳飛などに敗れたのは納得できない,というか無念です。
  2. 童貫
    言わば梁山泊の敵の総大将ですが。理由は蕭珪材とほぼ同じで,やはりストイックに勝利を求める姿が好きです。基本ストイックなキャラが好きらしい(笑)。ただ方臘戦ではかなり苦戦し,色々と苦悩も窺え,さらに好きになりました。子午山の王進を訪れた場面はよかったです。王進,童貫,蕭珪材が一同に会したら,どんな浮世離れなことになるのだろう。
  3. 公孫勝
    呉用とうまくやっている,というだけでも何となく好きな人物。物語では,常に一歩引いたところから眺めているニヒルな役ですが,実は熱いというのを感じさせるところが好きです。『水滸伝』での林冲とのやりとりも好きでした。終盤で死ぬのですが,その時の呉用とのやりとりはちょっと感動しました。
  4. 李媛
    女性キャラで一番好きなのは李媛です。女扱いされたくない男勝りな性格,と書くと扈三娘とも共通していますが,李媛が好きなのは,理想主義者っぽくてあまりにも不器用なところと,郝瑾とお互い惹かれあっているのに結局何も無かった (郝瑾が死んでしまった) ところでしょうか。この2人は応援してたんですが,非常に切ない印象を残しました。
  5. 李明
    童貫の幕僚として地味ながら活躍していたと思います。特に,対蕭珪材戦で,韓成の率いる方臘軍の生き残りを破った場面は非常に印象的です。最後に狄成に殺されたのは少々納得がいきませんでした。堂々と戦で死ぬのならよかったのですが…。劉譲や陳翥もそうですが,楊令伝読本の人物事典に名前すら出てこないのはあまりにも不憫です。
  6. 楊令
    言わずと知れた主人公で梁山泊の棟梁ですが,私は正直まだ宋打倒後の楊令の気持ちというものを深く考えていないように思います。ずっと梁山泊は打倒宋を掲げていたわけですが,それをいざ成し遂げた時に,一体どんな国を作るのか。私自身は,14, 15巻くらいになって漸くその大変さに気づきました。政治や会社に不満を言うだけなら簡単ですが,では実際に自分がその支配者になったときにどうするか,何か考えているのか,何もできないのではないか。もっと日常の考えを推し進めるべきだと思わせてくれました。今後2週目を読むときには,この楊令の苦悩をしっかり考えねばと思います。

『楊令伝』購入書店との闘い

ついに2012年8月,北方謙三氏著の『楊令伝』の文庫版が完結しました。

物語についても色々書きたいところですが,今回は自分なりにこだわった,購入書店について書きます。

非常にどうでもいいことですが,楊令伝を買う時に,以下のようにして購入する書店を制限しました:

  • 全巻別々の書店で購入する。
  • 文京区内の書店で購入する。
  • できるだけ中小書店で購入する。

実は私は色んな書店のブックカバーを較べるのが好きで (集めるほどではありませんが),また読書後もブックカバーをしたままにすることが多いので,折角なので全て別々の書店で買えば,ブックカバーで何巻か判別できる (ああ,あの時あの本屋さんで買ったなあ,ということも思い出せる) ので面白いかな,と思いました。

また,実は楊令伝の前の物語である同著者の『水滸伝』文庫版も,全て別々の書店で購入していました。その時は地域で制限することもなかったので,それほど大変ではありませんでした (特に大手書店をよく使いました)。

今回はさらに自分が住んでいる文京区に限定し,しかも大手書店はできるだけ使わないというように,みずからハードルを上げたため,中盤以降は非常に苦戦を強いられました (Twitter にもよくつぶやきました)。10巻付近が非常に苦しかった。小さな書店をやっと見つけたのに楊令伝を置いていなかったり,何とか発見して買おうと思っていた書店が,さて行ってみると数日前に閉店してしまっていたり,と不運もありました。11巻で丸善,12巻で文教堂という大手書店を使わざるを得なかったのも非常に無念でした。でも物語が面白く,月一の発売後にじっくり書店を探すことができなかったのです。

最後には大学生協を使うという「奇策」を使い,何とか確保できました。

まあくだらないことではありましたが,書店を探すことによって文京区を色々散歩することもできたし,達成感も得られたのでよかったかなと思います。

以下が15巻+別冊の計16巻です。右上から左に1234, 5678, という並びです。

楊令伝15巻+別冊

楊令伝15巻+別冊

やはりこうして並べてみると,色んなカバーがあって楽しいです。買ったときの思い出も甦ってきます。なお15巻は大学生協購入で,自分でいくつかある好きなカバーを勝手にかけろ方式なのですが,企業広告入りでちょっと異色です。当初は文京区の図書館で貰った森鴎外生誕150年記念カバーにしようかと思ったのですが,これはこれで案外アリですね。

買った書店をまとめると,

  • 第1巻:南天堂書店 (本駒込)
  • 第2巻:Booksアイ (大塚 (茗荷谷))
  • 第3巻:BOOK EXPRESS (巣鴨)
  • 第4巻:ブックスユニ (本郷)
  • 第5巻:あゆみBooks (小石川)
  • 第6巻:あおい書店 (春日)
  • 第7巻:芳文堂書店 (小石川)
  • 第8巻:山下書店 (後楽)
  • 第9巻:音羽ブックス (音羽)
  • 第10巻:誠文堂書店 (白山)
  • 第11巻:丸善 (後楽)
  • 第12巻:文教堂書店 (本駒込)
  • 第13巻:往来堂書店 (千駄木)
  • 第14巻:成文堂書店 (関口)
  • 第15巻:東大生協 (本郷)
  • 読本:オークスブックセンター (後楽)

ていうか3巻の巣鴨 (文京区じゃない) ってなんだよって感じはありますが (汗)。まあ当時は文京区限定と考えておらず,4巻くらいから思いついたというのが本当のところです。

また,Google マップに購入店地図を作成してみました

さて,何年後になるか分かりませんが (5~6年後か?),3部作のラスト,『岳飛伝』の文庫版はどう買うか…。

物語も勿論楽しみですが,どう買うかも恐らくまた悩む (かつ楽しむ) ことでしょう。