『楊令伝』全15巻を読み終わったので余韻のあるうちに,とりあえず好きなキャラクターについてメモ。好き,というか気になった人物も含む。
登場人物がかなり多いので,「誰が好きか」で性格診断のようなものにもなるかもしれないと思います。
なお,ネタバレもあると思います。あと人名は公式サイトや Wikipedia からコピペしたものが殆どですが環境によっては表示されないかもしれません。
- 蕭珪材
やはり一番好きなのは蕭珪材。作中でも「蕭珪材だけは超然としている」といった描写が2~3回あったと思いますが,とにかく蕭珪材が出てくるだけで,思わず居住まいを正したくなるほど雰囲気が清々しいものになると思いました。権力争い・手柄争いとは無縁の生き方をしているからでしょう。物語的にはあまり重要な戦に関わってこない印象ですが,それも何となく蕭珪材らしいとはいえる気がします。自分はとにかく蕭珪材ひいきなので,当然のことながら岳飛などに敗れたのは納得できない,というか無念です。 - 童貫
言わば梁山泊の敵の総大将ですが。理由は蕭珪材とほぼ同じで,やはりストイックに勝利を求める姿が好きです。基本ストイックなキャラが好きらしい(笑)。ただ方臘戦ではかなり苦戦し,色々と苦悩も窺え,さらに好きになりました。子午山の王進を訪れた場面はよかったです。王進,童貫,蕭珪材が一同に会したら,どんな浮世離れなことになるのだろう。 - 公孫勝
呉用とうまくやっている,というだけでも何となく好きな人物。物語では,常に一歩引いたところから眺めているニヒルな役ですが,実は熱いというのを感じさせるところが好きです。『水滸伝』での林冲とのやりとりも好きでした。終盤で死ぬのですが,その時の呉用とのやりとりはちょっと感動しました。 - 李媛
女性キャラで一番好きなのは李媛です。女扱いされたくない男勝りな性格,と書くと扈三娘とも共通していますが,李媛が好きなのは,理想主義者っぽくてあまりにも不器用なところと,郝瑾とお互い惹かれあっているのに結局何も無かった (郝瑾が死んでしまった) ところでしょうか。この2人は応援してたんですが,非常に切ない印象を残しました。 - 李明
童貫の幕僚として地味ながら活躍していたと思います。特に,対蕭珪材戦で,韓成の率いる方臘軍の生き残りを破った場面は非常に印象的です。最後に狄成に殺されたのは少々納得がいきませんでした。堂々と戦で死ぬのならよかったのですが…。劉譲や陳翥もそうですが,楊令伝読本の人物事典に名前すら出てこないのはあまりにも不憫です。 - 楊令
言わずと知れた主人公で梁山泊の棟梁ですが,私は正直まだ宋打倒後の楊令の気持ちというものを深く考えていないように思います。ずっと梁山泊は打倒宋を掲げていたわけですが,それをいざ成し遂げた時に,一体どんな国を作るのか。私自身は,14, 15巻くらいになって漸くその大変さに気づきました。政治や会社に不満を言うだけなら簡単ですが,では実際に自分がその支配者になったときにどうするか,何か考えているのか,何もできないのではないか。もっと日常の考えを推し進めるべきだと思わせてくれました。今後2週目を読むときには,この楊令の苦悩をしっかり考えねばと思います。