プラトンの著作を文学作品として読むことには,何か特別の弁明みたいなものがいるだろうか。ある意味では,かれの著作は哲学書として読むのにも,やはり何か説明を必要とするかのように考えられるかもしれない。しかし事実は,そもそも文学とか哲学とかいう区別が,わたしたちの了見の狭さ (スミークロロギァー) から生じてきているのである。プラトンの作品は,そういう眼界狭小の専門家たちを笑うかのように,そこに存在しているのだ。それはわたしたちの解説や弁明を求めることなく,それ自体が証明をふくんでいると言わなければならない。眼のある読者は,自分で見,自分で理解することができるはずだ。
~田中美知太郎: 『世界文学大系』第3巻 プラトン (筑摩書房) ,解説 p.453岡 プラトンをお好きで,ずいぶんお読みになったようですね。
小林 好きなんですが,ただ漫然と読むので。好きな理由は,たいへん簡単なことなのでして。あれ,哲学の専門書じゃないからです。専門語なんてひとつもありません。定義を知らないものにはわからないという不便がないからです。こちらが頭をはっきりと保って,あの人の言うなりになっていれば,予備知識なしに,物事をとことんまで考えさせてくれるからです。
~小林秀雄,岡潔: 『人間の建設』 (新潮文庫),批評の極意 p.136
私はプラトン全集 (岩波書店) 読破を目指しています。
完全に素人の趣味で,哲学にさほど興味があるわけでもなく,読み物としてただ読んでいます。
一応会社に勤めている身で (ソフトウェアエンジニアをやっています),達成がいつになるかは分かりませんが,とりあえず読んだものについては,読書メモをブログに残すようにしています (但し最初の頃はメモを残していなかったので,それらはもう一度読むことになるでしょう…)。
このページでは,プラトン全集のメモのポータルとして,各巻とそれに収録されている作品から,メモを辿れるようにしています。
前述の通り,素人ですので専門的な観点からは拙い点も多いと思いますが,ご容赦ください。
なお,全集の読破は,第2巻から始めました。第1巻は文庫でも読める作品が多いので…という理由で。でも全集を読み始めてからは,文庫で読める (読んだ) ものについても,全集を読むようにしています。1巻は最後に読むことになるでしょうか。
また,全集は都度図書館で借りたり読んだりしています。所有はしていません。
後になるほどメモが長くなっていくのは,気のせいではありません(笑)。最初の頃のは結構適当だったので,もう一度読んで書き直したほうがいいかな…。
冒頭に引用した田中美知太郎氏の言葉にあるように,哲学とか文学とかいう区別をつけなくても,プラトンを読むのは面白く,また得るものが多くあります。他方で,対話篇という体裁もあり,また小林秀雄氏の言うように,前提知識というものを一切必要としないため,他の哲学者の本よりもかなり読みやすく,かつ思索へといざなってくれます。もっと多くの人が読むようになればいいなと思います。
以下が各メモへのリンクです。
- 第1巻
- エウテュプロン
- ソクラテスの弁明
- クリトン
- パイドン
- 第2巻
- クラテュロス
- テアイテトス
- 第3巻
- ソピステス (2012年9月15日公開)
- ポリティコス(政治家) (2012年9月17日公開)
- 第4巻
- 第5巻
- 第6巻
- 第7巻
- 第8巻
- エウテュデモス (2013年3月16日公開)
- プロタゴラス メモ(1) (2013年3月31日公開) メモ(2) (2013年4月21日公開)
- 第9巻
- ゴルギアス メモ(1) (2013年9月8日公開) メモ(2) (2013年9月23日公開) メモ(3) (2013年11月28日公開)
- メノン (2013年12月11日公開)
- 第10巻
- 第11巻
- クレイトポン (2013年12月13日公開)
- 国家
- 第一巻メモ(1) (2013年12月18日公開) メモ(2) (2013年12月23日公開)
- 第二巻メモ(1) (2013年12月26日公開) メモ(2) (2013年12月31日公開)
- 第三巻メモ(1) (2014年2月2日公開) メモ(2) (2014年2月16日公開) メモ(3) (2014年2月23日公開)
- 第四巻メモ(1) (2014年4月13日公開) メモ(2) (2014年4月20日公開) メモ(3) (2014年4月27日公開)
- 第五巻メモ(1) (2014年5月12日公開) メモ(2) (2014年6月14日公開) メモ(3) (2014年6月29日公開)
- 第六巻メモ(1) (2014年7月21日公開) メモ(2) (2014年8月3日公開) メモ(3) (2014年8月14日公開)
- 第七巻メモ(1) (2014年11月30日公開) メモ(2) (2014年12月21日公開) メモ(3) (2015年1月18日公開)
- 第八巻メモ(1) (2016年1月11日公開) メモ(2) (2017年5月26日公開)
- 第九巻メモ(1) (2017年6月21日公開) メモ(2) (2017年8月21日公開)
- 第十巻メモ(1) (2017年11月20日公開) メモ(2) (2017年12月24日公開)
- 全体の振り返り (仮称)
- 第12巻
- 第13巻
- ミノス (2018年8月2日公開)
- 法律
- 第一巻メモ(1) (2018年12月16日公開) メモ(2) (2018年12月29日公開)
- 第二巻メモ(1) (2019年4月7日公開) メモ(2) (2019年5月11日公開)
- 第三巻メモ (2019年7月3日公開)
- 第四巻メモ (2019年8月12日公開)
- 第五巻メモ (2019年10月2日公開)
- 第六巻メモ(1) (2020年3月28日公開) メモ(2) (2020年7月20日公開)
- 第七巻メモ (2020年8月13日公開)
- 第八巻メモ (2020年12月2日公開)
- 第九巻メモ(1) (2021年6月16日公開) メモ(2) (2021年7月17日公開)
- 第十巻メモ
- 第十一巻メモ
- 第十二巻メモ
- 第14巻
- エピノミス(法律後篇)
- 書簡集
- 第15巻
- 定義集
- 正しさについて
- 徳について
- デモドコス
- シシュポス
- エリュクシアス
- アクシオコス
- 別巻
- 総索引
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田中美知太郎「ロゴス」を文庫本で読んでいて、スミークロロギアという言葉の意味が判らず、「スミークロロギア 田中美知太郎 」と検索したところ、このHPがヒットしました。
お陰様で意味が判りました。ありがとうございました。
スミークロロギアに訳を付けないなんて,さすが田中美知太郎氏ですね!お役に立てて何よりです。
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